K店長の宝石ストーリー

第11話
アクアマリン

 人魚の宝石を愛したエカテリーナ女帝の孤独 

海を連想させるアクアマリンは、当然のように海の精や人魚伝説と結びつき
一般的には海の精の宝物が浜辺に打ち上げられて石となったという話が有名です。
また、船乗りに恋をした人魚が流した涙が宝石になって浜辺に打ち上げられ、
それ拾った船乗りがお守りにしたという話もあります。
夜の観劇会やパーティーがガス灯の下で繰り広げられていた頃、
このアクアマリンは夜の光の中で水を得た魚のごとくキラキラ輝いたので
「宝石の夜の女王」との名を持ちパーティー好きな貴婦人たちに愛されました。


そんな中ロシアの歴史の中で「大帝」としてその名を残す女帝エカテリーナ12世は、
世界の皇帝の中でも無類の宝石愛好家。
豪華絢爛を極めるロシアの宝石館にそれは納められています。
目映いばかりの大宝石コレクションがそれを物語っていますが、
以外にも彼女が最も愛した宝石がアクアマリンをアメジストと言われています。
クーデターによって殺害された夫ピュ−ドル3世の後を継いで皇帝になったエカテリーナは、
領土を拡大し工業化の発展に尽くします。
農奴制が拡大する中貴族文化が開花。
エカテリーナ宮殿で繰り広げられる華やかな宮廷生活は
そのまま宝飾文化の充実と開花を意味しました。


ロシアのウラル地方で産出されるのは、宝石ばかりではなく
鉄は世界一の産出量を誇り豊かな財源となりました。
多くの愛人をはべらせ華やかな恋愛遍歴を続けたエカテリーナ。
権力の頂点で栄華を思いのままに生きたかに見える彼女も
実は本心から人を信じることができず宝石にすがった気丈な女性の一面が見えてくるようです。
アクアマリンの硬度は7.5〜8.
鉱物学的に分類するとエメラルドと同じベリルに属します。
同じベリルでありながら爽やかなブルーが誕生したのは
アクアマリンにわずか0.5〜2%の鉄分が
内包されたためです。
同じ鉱物でありながらインクリュージョンを含み
殆どが小粒でしかとれないエメラルドとは、
その性質はまったく対照的なのです。

キズやインクリュージョンは殆ど見られず
大きな結晶を作るアクアマリン。
過去最大の原石は直径41〜42cm高さ48cmの
六角柱の結晶でその重量は110kgにも達しました。
Pt900 23.66ctリング


アクアマリンの中でも色の濃いものを
アクアマリンサンタマリアと呼び
通常の薄い色のアクアマリンより高く評価されます。
しかしサンタマリアは、大粒の一品が少なく1〜2ct
くらいのものが主流となっています。

不純物が少なく固くて割れにくく
軽やかなイメージのアクアマリン。
社会に進出し颯爽と自分を主張する
女性たちにはゴージャスさより
クールビューティーのアクアマリンがピッタリ!
Pt900 アクアマリンサンタマリア。トップ&リング


アクアマリンの仲間たち(ベリル系の石で色別に呼び方が変わります。)
海水青色 アクアマリン
ばら色 モルガナイト
帯緑黄色 ヘリオドール
黄色 イエローベリル
黄金色 ゴールデンベリル
無色 ゴッシュナイト
赤色 ビキシバイト(ビックバイト)


主な原産国
ロシア・ブラジル・インド・スリランカ・ナイジェリア
モザンビーク・ナミビア・マダガスカル


宝石ことば 宝石の象徴
聡明・沈着 海難防止・不老



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